旅の恥はかき捨て

先日駅のホームで電車を待っておりましたら、私の前に立っている若い女性の上着の首元から、なんとプライスタグ(値札)がぶら下がっているではありませんか。

見て見ぬふりをするのが良いのか、お知らせするのが良いのか、一瞬迷いましたが、周りに殆ど人がいなかったため、お知らせすることにしました。

すると、「え~??どうしよう!」と、とても恥ずかしそうに女性は振り向きもせず言いました。きっと、私に顔を見られるのが恥ずかしかったのですね。
「ハサミがあればいいですけど、とりあえず服の中に突っ込んでおきましょうか?」と言いましたら、バッグから携帯用の小さなハサミを出しながら、「ハサミならあります!お願いできますか?」と言いましたので、私はタグを切って彼女に渡しました。

今までこれをぶら下げて歩いていたんですね、え~、どうしよう、恥ずかしい!!

と盛んに言うので「大丈夫、お互いに知らない人同士ですからね。誰も気にしていないですよ。」と。
それに、タグが出ていたからと言って、誰にも迷惑は掛かりませんよね。
電車が到着した時、私が彼女から見えない離れた席に乗車したことは言うまでもありません。

こんなできごととは別に、「旅の恥はかき捨て」という言葉があります。
これは、今回の出来事とは少し違います。

旅先では知った人もいないし、たとえ何かを見られたとしてもその後お互いに何のかかわりもないのだから、何をやってもその場限り!
と、通常なら絶対にしないような非常識なことや恥ずかしいことを平気でやってしまう。
それが「旅の恥はかきすて」という言葉の意味です。

騒いだり、何かを壊したり、落書きしたり。
世界遺産や重要文化財などもそういう被害に遭い、メディアを賑わせることもありますが、このように他者に迷惑をかけたり損害を被らせるようなことは、人として慎みたいですね。

そう考えますと、今回のようにタグが付いたままだったり、新調した上着やコートのベントにつけられた「仕付け糸」を取り忘れたり、そんなことはむしろ、可愛い、微笑ましい「恥」ですね。

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