社交不安障害(SAD)と自己紹介

4月になり、新しい職場、新しい学校など新しい環境に身を置くことになった方も多いのではないかと思います。
そのような場合、自分のことを知らない人に、自分を知ってもらうための自己紹介をする機会があります。
初めて出会う人、顔は見たことがあるけれど話したことのない人。
そのような人同士がお互いを知り、円滑なコミュニケーションをとるためには自己紹介が欠かせません。

自己紹介は対面の場合と、文書にして配布する場合があります。社内報などにインタビュー形式で掲載されることもあるでしょう。

いずれの場合も、いかに簡潔にしかも好印象に自分をアピールできるか、がポイントになります。
長々とありとあらゆることを並べ立ててしまうと、却って人物像がぼやけてしまうことになりかねません。
あなたの人となりがわかる内容を、順序良く並べて伝えてみましょう。

氏名、簡単な経歴、出身地、家族のこと、得意なこと、趣味、最近の関心ごとや出来事など。
あなたが他人の何を知りたいのかを考えれば、逆にあなたが何を伝えればよいのかがわかります。
最後に今後の抱負や意気込みを伝えて締めくくります。

自己紹介や大勢の前で話すことが得意でない人もいるかもしれません。
その場合には、無理してたくさん話すことはせず、「人前で話すことは得意ではない」ことを伝えてから氏名、簡単な経歴を話して「よろしくお願いします。」と締めくくってしまえば大丈夫です。

さて、私は過去にメンタルの病(社交不安障害(SAD))だった時に、人前で話すことができずに苦労をしたことがあります。
そうなってしまったきっかけは・・・。

私は子どもが4歳の時に離婚をしてシングルマザーになりました。離婚をするときには「姓」を婚姻時の姓をそのまま使用するか婚姻前の姓にするかを選ばなければなりません。
私は離婚して実家に戻ることになったため弁護士から旧姓(実家の姓)に戻ることをアドバイスされ、悩んだ末にアドバイス通り旧姓に戻ることにしました。

家庭裁判所に子どもの氏を母親の姓にすることを申し立て、それが認められ、子どもを入籍させて二人で私の実家の姓を名乗ることになりました。

ところが、何年も使っていた婚姻時の姓が私にも子どもにも染みついていたことに、その後気づかされたのです。
特に子どもは生まれてからずっとなじんでいた氏名が突然に変更させられたのですから戸惑うのも無理はありません。
私にしても、婚姻前に名乗っていた姓なのに、なぜか他人の姓のような感覚があり、呼ばれても自分が呼ばれているという意識が起こらなくて、呼ばれているのに知らん顔をしているみたいになってしまいました。

子どもの入園後の保護者の昼食会での自己紹介の場面。
姓を間違えてはいけない。「〇〇 △△の母です」と言わなくては。「×× △△の母です」と間違えて言わないようにしなければ。
そう思ったらとても緊張してしまい、「〇〇 △△の母です」と言い終わったとたんに大量の汗がふき出て、それだけで頭を下げて席に座ってしまいました。

この一件があってから私はその後、何年も人の前で話すことができずに苦しむことになってしまったのです。

社会不社交不安障害(SAD)とは、大勢の注目が集まるような状況で、緊張して強い不安や恐怖を感じ、何か失敗をして恥をかくのではないかという心配や恐怖、不安を感じる病気です。大勢の注目が集まるような状況に強い苦痛を感じ、恐怖や不安強く感じ、緊張のあまり赤面し、大量の汗・動悸という身体症状があらわれてしまいます。

また、大勢の注目が集まるような状況ではなく、会食の場面や電話対応などでも同じような症状が出ることがあります。
私も当時、仕事での電話対応がとても苦痛でした。やはり、電話に出たときに職場の名称を間違えて口にしたらどうしようとか、うまく対応できなかったらどうしようという不安が表立ってしまいました。

私の場合は当時、それを病気と認識していなかったために適切な治療や対処がなされず、好転するまでに何年もかかってしまいました。
現在はカウンセリングを行う身として、当時の自分にかけてあげたい言葉がありますし、自分で改善するためにどうしたらよいのかがわかります。

もしも現在、そのような症状でお悩みの方がいらっしゃれば、一人で悩まず相談をしていただきたいと思います。
せっかく新しい環境に飛び込んだのですから、少しでも楽になって前に進んでほしいです。


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